中国向けの工夫

厳しい補正要件と補正目的の制限への対応

中国向けの工夫として重要なのは、厳しい補正要件と補正目的の制限に対応できるように明細書を記載することです。

中国は、欧州と同様に、日本や米国に比べて補正要件が極めて厳しい傾向にあり、新規事項の追加が頻繁に問題になります。何も対策を採っていなければ、中間処理の段階で思うような補正ができない事態に陥ります。

中国の補正要件

中国の補正要件は、「元の明細書及び請求の範囲に記載された範囲は、元の明細書及び請求の範囲の文字どおりに記載された内容と、元の明細書及び請求の範囲の文字どおり記載された内容及び明細書に添付された図面から直接的に、疑う余地も無く確定できる内容を含む。」(専利審査指南第二部分第八章5.2.1.1)と規定されており、欧州審査基準の「directly and unambiguously(直接かつ明確に)」(欧州審査基準H部IV章2.1)によく対応しています。

実際、中国実務では、欧州と同様に、中間一般化(二次概括)の類型の補正要件違反がよく問題になります。

中国における補正目的の制限

中国では、いったん実体審査が始まると、補正できる範囲は極めて制限的です。 
まず、OA対応時の補正は、審査官より指摘を受けた拒絶理由を解消するためのものでなければなりません(実施細則51条3項)。審査指南には、OA対応時に許されない補正の類型として、以下の場合を挙げております。

中国実務: OA対応時に許されない補正の類型

(1)独立クレームの構成要件を自発的に削除して権利範囲を広げる補正
(2)独立クレームの構成要件を自発的に変更して権利範囲を広げる補正
(3)明細書のみに記載された、当初のクレームと単一性が無い技術内容を自発的に補正後のクレームの主題とする補正
(4)当初の請求の範囲に記載されていない発明を規定する新たな独立項を自発的に追加する補正
(5)当初の請求の範囲に記載されていない発明を規定する新たな従属項を自発的に追加する補正
(審査指南第2部第8章5.2.1.3)

このように、いったん拒絶理由通知が出てしまうと、原明細書に記載があったとしても元の請求項の範囲を拡大することはできず、新たな独立請求項又は従属請求項をクレームアップすることも許されません。
よって、日本語明細書の作成時点で、審査上意味のある従属請求項を多数含めたクレームセットを作っておかなければ、審査を効率的に受けることができません。

グローバル明細書における工夫

SSIPのグローバル明細書では、「欧州向けの工夫」でも説明しているように、中間一般化(二次概括)の補正要件への対応として以下の工夫を行います。

  • 開示基準点としての図面を用いて実施形態群(中間概念)を直接的に説明する。
  • 中間的な技術思想を説明する際にその他の不要な構成が入り込まないようにする(コンタミ排除)。
  • 重複記載が発生しないように、複数の図面を同時に用いて複数の実施形態を横断的に説明する(横串明細書)。

また、「多くの国に共通の工夫」でも述べたように、審査段階で役立つ多くの従属請求項をクレームセットに盛り込んでいますので、いったん拒絶理由が出た後において補正目的が厳しく制限される中国実務にも対応可能です。

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