新型コロナウイルス(COVID-19)の問題が世界的な広まりを見せており、特に今週に入ってからは世界中の事務所から各国の知的財産権関連の手続きの状況について連絡が届いております。現在のところ、リモートワークを活用するなどして各国の代理人が滞りなく手続きを進めているようです。国によっては手続期限の延長などの救済措置を打ち出しているようですので、影響がありそうな点をお知らせ致します。状況は日々変化していますので、手続きの際は、その都度、改めてご確認ください。
アメリカ
3月16日(月)より、職員以外のUSPTO(米国特許商標庁)館内への立ち入りが禁止。大きな支障はなく業務は継続される予定であり、今のところ各種手続きの期限にも影響はない。インタビュー等は電話等を利用して行われる。
連邦裁判所のトライアルやヒアリングの延期、裁判所自体の閉鎖などが発生している可能性あり。
【2020年4月10日追記】
2020年3月27日から2020年4月30日までのOffice Actionに対する応答、特許登録料・年金の支払い、商標の更新登録申請、商標の使用宣誓書の提出等の期限について30日間延長するものとする。(*個別の手続きについて延長となるかはお問い合わせ下さい。)
【2020年5月7日追記】2020年3月27日から2020年5月31日までのOffice Actionに対する応答、特許登録料・年金の支払い、商標の更新登録申請、商標の使用宣誓書の提出等の期限については、救済措置の対象となる。2020年6月1日までに応答書の提出・料金の支払い等の手続きを行うとともに、手続きの遅延がコロナウイルスに起因する旨の宣誓書を提出すること。(個別の手続きについて、救済措置の対象となるかはお問い合わせください。)
カナダ
2020年3月16日から3月31日までの期限については、2020年4月1日まで延長する。
EPO(特許)
*2020年3月15日以降に期限を迎える案件については、2020年4月17日まで期限が延長される。PCT経由の出願についても同様。今後の状況次第では再延長される可能性もあり。
*郵便事情により期限前に書面を提出できなかった場合、郵送トラブルが解消した後、5日以内に、そのトラブルが期限前10日以内に発生したことを証明する証拠を提出すれば、救済の可能性がある。
*国際段階にあるPCT経由の出願については、期限徒過から6ヶ月以内に、可能な限り早急に手続きすれば、救済措置を受けられる可能性あり。ただし、優先権主張の期限は除く。
*2020年3月16日から2020年3月27日まで、審判部における口頭審理は開催されない。当事者にはそれぞれ通知を送付する。
*審査部及び異議申立部における口頭審理は開催されるが、感染リスクの高い地域の当事者については、希望によりビデオ会議を行うか、延期とする。
*2020年3月13日の時点では、中国、韓国、イラン、イタリア、ドイツとフランスの一部地域が感染リスクの高いエリアとされている。今後も状況により、エリアが拡大される可能性あり。
【2020年5月11日追記】
2020年3月15日以降に期限を迎える案件については、PCT経由の出願も含め、2020年6月2日まで延長(状況によっては、再延長の可能性あり)。
EUIPO(意匠・商標)
2020年3月9日から2020年4月30日までに期限を迎える案件については、2020年5月1日まで期限を延長する。
【2020年5月11日追記】
2020年5月1日から5月17日までに期限を迎える案件については、2020年5月18日まで延長する。
イタリア
2020年3月9日から4月3日までに期限を迎える案件については、期間を停止し、その後、残りの期間のカウントを再開する。ただし、各種審判及び商標の異議申立に関する手続きについては、適用除外。
【2020年3月25日追記】
救済措置を拡大。
2020年2月23日から2020年4月15日までに期限を迎える案件については、期間を停止し、2020年4月15日から残りの期間のカウントを再開する。
期限が2020年2月23日から2020年4月15日の間にスタートする案件については、期限の始期を2020年4月15日とする。
年金納付及び更新期限が2020年2月23日以降の案件については、2020年4月15日に期限を延長する。
スペイン
非常事態宣言により、特許庁及び裁判所の期限は停止中。
【2020年5月19日追記】
特許庁は2020年5月24日まで期限を停止中。
ドイツ
新型コロナウイルスが原因で期限を徒過した場合、申請すれば権利を回復できる可能性あり。
イギリス
コロナウイルスが原因で期限を徒過した場合、個別の案件ごとの状況に応じて救済される可能性あり。期限内に手続きができない可能性がある場合は、早めに現地代理人にコンタクトをとることが重要。
ロシア
【2020年3月30日追記】
ロシア特許商標局:2020年3月30日から1週間、閉庁。2020年3月28日から2020年4月5日までの期限は2020年4月6日まで延長。オンラインによる手続きは可能。
ユーラシア特許庁:2020年3月30日から1週間、閉庁。2020年3月28日から2020年4月5日までの期限は2020年4月6日まで延長。
裁判所:少なくとも2020年4月10日までの裁判所におけるヒアリングは延期。特許紛争評議会におけるヒアリングは2020年5月8日まで電話会議で行うものとする。
【2020年4月6日追記】
ユーラシア特許庁:2020年4月30日まで、閉庁を延長。期限は次の開庁日まで延長。
オーストラリア
【2020年5月7日追記】
オーストラリア知的財産庁は通常通り業務を行っている。コロナウイルスの影響を出願人が受けたことにより期日までに手続きが不可能な場合は、期限前に3カ月の延長手続きをオンラインで行うことが可能。庁費用は発生しない。ただし、特許年金の支払い・更新・優先権主張を伴う出願手続き等については、延長手続きの対象外なので留意する。
ブラジル
2020年3月16日から4月14日まで、全ての手続き期限について、期間を停止。
【2020年4月10日】
新型コロナウイルスの治療や診断のための薬剤や機器についての特許出願は優先の対象となる。優先審査の申請期限は2021年6月30日。
【2020年4月15日追記】
2020年3月16日から4月30日まで、全ての手続き期限について、期間を停止。
【2020年5月7日追記】
ブラジル特許庁は2020年3月16日から2020年5月15日まで全ての手続き期限の期間を停止。2020年3月15日以前に期限のカウントがスタートしていた案件については、期限の停止期間経過後から残りの期限のカウントが再開する。2020年3月16日から2020年5月15日までに期限がスタートする予定だった案件は、期限の停止期間経過後から期限のカウントがスタートする。
裁判所は2020年5月4日まで手続き期限の期間を停止。
【2020年5月19日追記】
ブラジル特許庁は手続き期間の停止を2020年5月31日まで延長。
ペルー
3月16日(月)より4月28日(月)まで、法律的な期間は停止とする。2020年4月29日(火)より、残りの期限の日数のカウントを再開する。
メキシコ
【2020年3月25日追記】
メキシコ知的財産局及び裁判所は閉鎖。全ての期限を最低でも2020年4月20日まで延長する。
【2020年4月17日追記】
メキシコ知的財産局は全ての期限を2020年4月30日まで延長する。
裁判所は全ての期限を2020年5月5日まで延長する。
【2020年5月19日追記】
メキシコ知的財産局は全ての期限を2020年5月30日まで延長する。ライセンス・譲渡・異議申立・更新等の手続きもオンラインで手続き可能となった。
【2020年5月27日追記】
メキシコ知的財産局は警戒レベルの引き下げまで全ての期限を延長する。
インド
2020年3月17日から4月15日までに予定されている商標に関するヒアリングは延期。
【2020年3月23日追記】特許案件についてのみ、新型コロナウイルスによる混乱が終息してから1か月以内に、所定の申請をすれば、救済措置を受けられる可能性あり。意匠・商標については、対象外なので注意。
【2020年3月27日追記】
全ての期限は2020年4月15日まで延長。
2020年4月14日までに予定されていた特許に関するヒアリングは延期。
【2020年4月16日追記】
知的財産局は2020年5月3日までクローズされるが、E-mailによるサービスは継続中。2020年3月25日から2020年5月3日までの期限は2020年5月4日まで自動延長となるが、できる限り本来の期限通りの手続きを推奨。ヒアリングもクローズ期間中は中止され、新たな日程は追って通知される。
【2020年5月7日追記】
2020年3月25日から2020年5月17日までの期限は2020年5月18日まで自動延長となるが、できる限り本来の期限通りの手続きを推奨。
【2020年5月26日追記】
2020年3月25日から2020年5月17日までの期限は2020年5月18日まで期限延長の予定だったが、猶予期間が設けられ、2020年6月1日まで延長されることとなった。
2020年3月25日から2020年5月17日までの期限は2020年5月18日まで自動延長となるが、2020年3月25日から2020年5月17日までの期限は2020年5月18日まで自動延長となるが、
インドネシア
【2020年4月2日追記】
インドネシア知的財産局が2020年4月21日までクローズする予定。オンラインによる出願やOffice Actionに対する応答書類の提出は可能。少なくとも2020年3月23日から2020年4月21日までの期限はインドネシア知的財産局が再開するまで延長となる。
【2020年5月26日追記】
インドネシア知的財産局2020年5月29日までクローズ。オンライン手続きは受付け中。
シンガポール
【2020年4月7日追記】
シンガポール知的財産庁(IPOS)はオンラインによる手続き受付中。2020年4月7日から2020年5月7日までに期限を迎える手続きについては2020年5月8日に期限延長。
【2020年5月19日追記】
2020年4月7日から2020年6月4日までに期限を迎える手続きについては2020年6月5日に期限延長。
ベトナム
【2020年4月2日追記】
状況が改善されるまでベトナム国家知的財産庁はクローズ。知的財産に関する2020年3月30日から2020年4月30日までの期限は、自動的に2020年5月30日まで延長となる。
日本国特許庁との特許審査ハイウェイの申請受付再開は2020年4月1日から2020年5月4日に予定変更。
パキスタン
【2020年3月27日追記】
2020年2月23日から知的財産局は閉鎖。新出願についてはオンラインで手続き可能。
フィリピン
*ヒアリング・調停の延期。
*手続き期限が2020年3月16日から4月14日までの案件については、30日の期限延長。
*2020年3月16日から4月14日の間について、出願手続きはオンラインのみ受け付け。書面による提出不可。この期間内のオンラインによる新出願については、知的財産局内の処理は2020年4月15日から開始される。
*紙媒体の書類の受付は2020年4月15日に再開予定。
タイ
【2020年3月25日追記】
新型コロナウイルスの影響による期限の延長が手続き可能。理由を記載した申請書を証拠(パスポート、診断書等の証明書類)とともに、ウイルスの影響がなくなってから15日以内に提出する。ただし、延長が認められるかは、タイ知的財産局の裁量によるので、注意する。
台湾
新型コロナウイルスを原因とする期限徒過については救済措置あり。
韓国
特許庁の業務は平常通り。ただし、郵便の遅れ発生。
【2020年4月1日追記】
特許庁が指定した2020年3月31日から2020年4月29日までの期限(特・意・商のOfficeAction に対する応答期限等)は職権により2020年4月30日まで延長。特許出願期限、審査請求期限、審判請求期限等の法定期限は職権延長の対象外の手続きなので留意。一部の手続きについては、延長や救済措置の申請が可能な場合あり。(*延長・救済措置の対象となるかは個別にお問い合わせ下さい。)
【2020年5月7日追記】
特許庁が指定した2020年3月31日から2020年5月30日までの期限(特・意・商のOfficeAction に対する応答期限等)は職権により2020年5月31日まで延長。特許出願期限、審査請求期限、審判請求期限等の法定期限は職権延長の対象外の手続きなので留意。一部の手続きについては、延長や救済措置の申請が可能な場合あり。(*延長・救済措置の対象となるかは個別にお問い合わせ下さい。)
中国
オンラインによる手続きを推奨。
【2020年4月20日追記】
新型コロナウイルスの影響で期限徒過した場合、影響がなくなってから2月以内であって、本来の期限から2年以内であれば、権利回復の申請が可能。申請には所定の書式の書類と証拠の提出が必要。可能な限り、本来の期限までに手続きすることが望ましい。
ラオス
【2020年4月2日追記】
ラオス知的財産局は2020年4月1日から4月17日までクローズ。クローズ期間中の期限は自動的に2020年4月20日に延長。
マレーシア
2020年3月18日から3月31日まで知的財産局は閉鎖するが、オンラインシステムによる新出願の受付は継続。
【2020年3月27日追記】
2020年4月14日まで移動制限が延長された。2020年3月18日から4月14日まで知的財産局も閉鎖するが、オンラインシステムによる新出願の受付は継続。オンラインで手続きできないものについては、移動制限が解除された後に手続き再開予定。
【2020年4月17日追記】
2020年4月28日まで知的財産局は閉鎖。
クウェート
全ての政府機関が2020年3月12日から3月26日まで閉鎖。3月29日に再開予定。
ベネズエラ
【2020年4月15日追記】
2020年3月16日から5月12日まで知的財産局がクローズ。オンラインによるサービスは継続中。
【2020年5月7日追記】
2020年4月27日から緊急事態の終了まで、オンラインで出願や名義変更等の手続きが可能に。公証等が必要な書類についても、電子で提出可能だが、原本の追完が必要。
トリニダード・トバゴ
【2020年5月7日追記】
特許庁は閉鎖中。閉鎖期間中は、異議申立と優先権を伴う新出願以外の手続きについては、期間延長の申請が認められる予定。
なお、国際線の欠航や各国国内の移動制限により、多くの国で郵便事情が悪化しているようです。原本が必要な書類については、お早めにご用意いただくと安心です。
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