「類似商品・役務審査基準」2020年改正で一番大きな影響がありそうなのは、「菓子」についての記載の変更ですが、その他にも細かな改正点がありますので、確認していきたいと思います。
A)第28類「昆虫採集用具」【類似群コード:25B02】は採用不可
2019年まで認められていた第28類「昆虫採集用具」はリストから削除されました。上位概念が削除されましたので、今後は第28類「柄付き捕虫網」、「昆虫採集箱」等の下位概念を記載していく必要があります。
B)第42類「デザインの考案(広告に関するものを除く。)」【類似群コード:42P01】が、「デザインの考案」【類似群コード:42P01】に
「デザインの考案」ですが、2015年12月31日以前は、第42類「デザインの考案」【類似群コード:42P01】と記載すれば、あらゆる「デザインの考案」をカバーできました。
ところが、改正により、2016年1月1日から2019年12月31日まで間、広告に関するデザインは第35類「広告デザインの考案」【類似群コード:35A01】、その他のデザインは第42類「デザインの考案(広告に関するものを除く。)」【類似群コード:42P01】と区分が分かれることになりました。
そして、2020年からは再び、第42類「デザインの考案」【類似群コード:42P01】と記載できるようになりました。
念のため、特許庁にも確認しましたが、具体的な「デザインの考案」については、広告に関するものについても、今後は第42類「デザインの考案」と記載すればカバーできます。
ただし、抽象的な広告のアイディアの提案サービスのようなものは、第35類「広告用コンセプトの開発(development of advertising concepts)」【類似群コード:35A01】と記載する必要があるとのことです。
C)現実の商取引の現状の変化に伴う、商品・役務(サービス)の追加
これまでも審査では認められていましたが、第9類「スマートフォン用カバー」等の「携帯情報端末の部品及び附属品」【類似群コード:11B01&11C01】が正式に「類似商品・役務審査基準」に追加されました。
また、第41類には「インターネットを利用して行う映像の提供」【類似群コード:41E02】及び「インターネットを利用して行う音楽の提供」【類似群コード:41E03】が追加されました。
ところで、日本の指定商品・指定役務の記載は、必ず「類似商品・役務審査基準」に掲載されているものから選ばなければならないわけではなく、適切なものがない場合は、自分で記載を考えて出願することができます。今までになかったような新しい商品やサービスについての商標の場合、なるべく具体的に記載して確実に権利範囲に含まれるようにする必要があります。
独自の指定商品・役務を記載して出願する場合、できる限り分かりやすく記載していれば、仮にその記載が認められなくても、日本特許庁の審査官はとても丁寧に補正の相談に応じてくれます。社会の実情に合わせた商品・役務(サービス)の追加は、出願人の声も反映されていると聞いていますので、必要なら積極的に審査官とコンタクトをとるように心がけています。
なお、数年前までは出願してから審査結果が通知されるまで6ヶ月程度でしたが、最近は1年程度かかっており、ビジネスを進める上で、この待ち時間がネックになってきます。「類似商品・役務審査基準」に掲載されている商品・役務(サービス)をそのまま記載していれば、審査結果が早く通知されるとのことですので、「類似商品・役務審査基準」にある商品・役務(サービス)で事業内容がカバーできるのであれば、修正を加えずに記載する方がよいと思います。
D)記載の軽微な変更
軽微な変更ですが、記載に誤りがありますと、拒絶理由が通知され、その応答の分、登録までに時間がかかることがありますので、ご注意ください。
*第6類「金属製金具(「安全錠・金属製鍵・鍵用金属製リング・南京錠」を除く。)」
【類似群コード:13C01】
→「金属製金具(「安全錠・鍵用金属製リング・金属製鍵・南京錠」を除く。)」
(区分及び類似群コードは変更なし)
*第20類「靴保護金具(金属製のものを除く。)」
【類似群コード:22A02】
→「靴保護具(金属製のものを除く。)」(区分及び類似群コードは変更なし)
日本出願の際に影響がありそうなのは、以上です。
特許庁の考え方は独特なことがありますので、商品・役務(サービス)が必要十分であるか、よく検討してから手続きすることが重要です。指定商品・指定役務の記載についてご不明な点がございましたら、お問い合わせください。
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