これまで第30類「菓子」に含まれていた商品の一部が、2020年1月1日の出願から、第29類に移動したことにより、第29類「菓子(果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものに限る。)」、第30類「菓子(果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。)」と記載することになりました。第29類に移動した具体的な商品は「甘栗,甘納豆,いり栗,いり豆,焼きりんご,ゆで小豆」などです。
ところで、2019年12月31日までに出願した件については、第30類「菓子」という記載が認められますので、他に拒絶理由がなければ、そのまま登録となります。また既に登録になっているもので、指定商品が第30類「菓子」となっているものも多数存在します。それでは、これらの権利範囲はどうなってしまうのでしょうか。
2019年12月31日までに第30類「菓子」と記載して出願した件については、第29類「菓子(果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものに限る。)」と第30類「菓子(果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。)」の両方をカバーすると考えます。また、第30類に残る商品も、第29類へ移動することになった商品も、権利範囲を決める類似群コードは「30A01」であり、変更はありません。つまり、2019年12月31日までに第30類「菓子」を指定して出願し、登録となった件の権利範囲に実質的な影響はありません。
なお、過去にも、「類似商品・役務審査基準」が改定されて、それまで含まれていた一部の商品が別の区分に移動したことがあります。
例えば、2011年まで第5類「薬剤」に含まれていた「口臭用消臭剤、動物用防臭剤」は、2012年1月1日以降の出願から第3類へ移動しました。2012年1月1日以降も第5類「薬剤」という記載は認められていますので、2011年までの第5類「薬剤」と現在の第5類「薬剤」では、含まれる商品が異なるということです。
普段は問題になることは少ないと思うのですが、指定商品・指定役務に何が含まれるのかは、その件の出願時に採用されていた「類似商品・役務審査基準」と改正前後の状況がわかる新旧対照表で確認する必要がありますので、ご注意ください。
日本では第3類「化粧品」、第5類「薬剤」などの包括的な記載も認められていますが、特に重要な商品については、特別な理由がない限り、具体的な記載も併せて記載しておくと、時間が経っても分かりやすい権利となると思います。
さて、次回は「菓子」以外の改正点についてお伝えします。
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